@article{oai:ksu.repo.nii.ac.jp:00001302, author = {杉村, 涼子 and SUGIMURA, Ryoko}, journal = {京都産業大学論集. 人文科学系列}, month = {Mar}, note = {トーマス・マンが1943年亡命地アメリカで『ファウスト博士』の執筆を開始したとき,ナチスドイツはすでに破局への道を歩みつつあった。自分の精神の故郷であるドイツ文化がなぜナチスを生み出す結果となったのかという問いへの答えを,マンはこの作品のなかで孤独な作曲家アードリアーン・レーヴァーキューンの生涯を描くことによって探ろうとした。生涯ドイツ音楽,とりわけヴァーグナーを愛したマンにとって,ドイツ音楽こそドイツ文化を代表するものであったからである。  この小説の前3分の1では主人公の青春時代が描かれるが,特に第8章は,アードリアーン・レーヴァーキューンを音楽の世界へと導くアメリカ出身の音楽家ヴェンデル・クレッチュマルという不思議な存在,そして彼の音楽講義によって非常に有名である。  アードリアーン・レーヴァーキューンの将来決定にとって重要な役割を果たす音楽教師クレッチュマルがなぜドイツ系アメリカ人でなくてはならないのか,またマンはこの奇妙な人物にいかなる意味を与えようとしたのか,クレッチュマルの講ずる音楽論はこの小説の主題とどのような関係にあるのか。本論では,まずマンと音楽との関係,『ファウスト博士』執筆に至る経過を明らかにし,続いてウェンデル・クレッチュマルの章について,これまであまり注目されなかった部分に焦点を当てつつ,上記の問いへの答えを探る。}, pages = {83--103}, title = {『ファウスト博士』におけるヴェンデル・クレッチュマルの章について}, volume = {40}, year = {2009} }