@article{oai:ksu.repo.nii.ac.jp:00001408, author = {湟野, 正満 and HORINO, Masamitsu}, journal = {京都産業大学論集. 人文科学系列}, month = {Mar}, note = {『パンセ』断章「気晴し」には,パスカル自筆の草稿が残っている。これは5枚の紙に書かれていて,そこには,テクストの3つの層が重層的に存在していることが近年の筆者の研究でわかってきた。筆者はこの3つの層を順次調べて,3つの層に第1文書,第2文書,第3文書の3つテクストを洗い出してきている。この3つの文書は,順次発展的に次の文書に仕立てなおされていき,それぞれ異なる目的を持っている。   小論では,主にこのタイトルの変遷に焦点を絞って論じる。  第1文書において,パスカルは自分の考えていた問題が解けて,それを喜びとともに文章にしたためている。これは自分のための覚え書きと言った性質の文書で,無題であったと思われる。  ある時,この文書を自分の企画している『キリスト教弁証論』に転用しようと思い,第1文書のなかにみられる自己愛的表現に満ちている部分を書き直し,思想的にさらに発展させて第2文書を作り上げ,『キリスト教弁証論』の第3章「人間の悲惨」に組み込んだ。このとき第2文書に「人間の悲惨」というタイトルをつける。第2文書は思想的に豊かな内容を持ち,「気晴し」と「倦怠」,さらに「人々の健全な意見」などの思想を生み出し,第3章「人間の悲惨」のあとに,第4章「倦怠」,そして「人々の健全な意見」の章を生み出すが,「倦怠」の章には短い3つの断章,「人々の健全な意見」の章には一つも断章が分類されず,現在は2写本準拠の『パンセ』には,この章は立てられていない。  この第2文書はさらに加筆を加えられ,第3文書へと発展的に進化するが,その内容はすでに『キリスト教弁証論』第3章の枠組みを大きく超えてしまう。そこでパスカルはこの文書とその周辺文書を独立させて新たなる章を誕生させ,第8章として「気晴し」の章を作り,第3文書のタイトルも「気晴し」と改めた。}, pages = {147--168}, title = {『パンセ』断章「気晴し」のタイトルについて}, volume = {47}, year = {2014} }