@article{oai:ksu.repo.nii.ac.jp:00001429, author = {齊藤, 泰弘 and SAITO, Yasuhiro}, journal = {京都産業大学論集. 人文科学系列}, month = {Mar}, note = {イタリア演劇界は,第一次大戦を境にして,観客の感性と趣味が大きく変化した。若い哲学者で演劇批評家のアドリアーノ・ティルゲルは,当時イタリアの有名な劇作家であったロベルト・ブラッコの晩年の戯曲『狂人たちI Pazzi』を古臭い劇であり,しかもピランデッロの劇の真似だと言ってこき下ろした。それに対して劇作家のルーチョ・ダンブラがブラッコを擁護して,批評家と激しく論争した。彼らの議論のテーマは,1)芸術とその時代の間にはどのような関係があって,2)批評家は芸術創造のためにどのような役割を果たすべきかという問題であった。  この両者の論争は当時の文化界に大きなセンセーションを巻き起こし,ピランデッロも『新しい劇と古い劇』という論文を発表して,この論争に参加した。彼はそこで,芸術創造とその時代の関係についてはティルゲルの哲学的理論を否定し,芸術創造の秘密は,哲学の抽象的な分析では捉えられないと主張した。こうしてピランデッロとティルゲル――芸術と哲学――の関係は,決定的な対立の局面を迎える。  この論争を通じて,両者は,芸術と哲学の究極的な目的が《生命活動》を捉えることにあるという点では一致したが,両者の捉え方には越え難い違いがあって,ピランデッロは,芸術が《生命》を生きたまま保存するのに対し,哲学による観念的な把握はその《生命》を殺すことになりかねないこと,つまり芸術の豊穣さと観念的思考の不毛さという考えを強く打ち出した。以上の芸術と哲学の間の論争をファシズム到来期という歴史的・社会的コンテクストの中で詳細に跡付けて理解する試みは,これまで誰も行なったことがないので,これが本稿のオリジナルな点と言うことができる。}, pages = {333--365}, title = {ピランデッロとティルゲル : 『新しい劇と古い劇』をめぐる芸術と哲学の相克について}, volume = {48}, year = {2015} }