@article{oai:ksu.repo.nii.ac.jp:00001550, author = {岩﨑, 周一 and IWASAKI, Shuichi}, journal = {京都産業大学論集. 社会科学系列}, month = {Mar}, note = {本論の目的は、近世においてハプスブルク君主国の兵士たちが実際に生きた世界の実状を、当時の法令・通達、および関係者が残した体験記・見聞録を史料として検討することである。  17世紀末より、常備軍の必要性を確信したハプスブルク王権は、軍を可能な限りその統制下におこうとした(「軍隊の君主国化」)。しかし、忠良にして勇敢・優秀な自国民出身の兵士によって構成される、国家による管理監督が行き届いた軍隊の形成という理想が実現されることはなかった。人々の意識において、戦争や軍事は基本的に自分とは関わりのない厄介事であった。実際に軍人・兵士となったのは、(1)傭兵を生業とする人々、(2)強制的な徴募の犠牲となって意に反して軍役につかされた人々、(3)それまでの生活環境から脱出し、社会的上昇を果たす機会として軍役をとらえた人々のいずれかであった。また兵士たちは、身分・出身・民族・宗教・言語などにおいて多種多様であり、共属意識にはきわめて乏しかった。  近世の軍隊が抱えたこうした諸問題を解決する策として、18世紀後半からは、現実に存在する多様性・多元性を超克するような「国民」意識や愛国心の涵養が主張されるようになった。そしてこの主張の実現は、フランス革命とナポレオン戦争がもたらした動乱の後、達成すべき国家目標に変化する。ハプスブルク君主国の軍隊は以後その崩壊にいたるまで、個々の領邦や民族ではなくハプスブルク君主国そのものに愛国心をいだく「国民」を担い手とすることをめざし、不断の苦闘を重ねることとなっていった。}, pages = {123--154}, title = {近世ハプスブルク君主国における軍隊と兵士}, volume = {30}, year = {2013} }